産直活動の始まりから、未来へ 志を継ぐ ー1970年代ー

社会的な運動として続けることが大事

1970年、宮城県民生協の職員が角田市農協を訪れた。「産直で提携しませんか」。申し出たのは内舘晟さん(みやぎ生協元専務理事)。その話に耳を傾けたのは、窪田立士(旧仙南加工連元常務理事)や佐藤善雄さんら農協の職員。長いつきあいがそこから始まった。産直とは何か、何をめざすのか。誰もまだ明解な答えを持っていなかったが、提携の方法、安全性の基準、生産者と組合員の交流。さまざまな産直のしくみが、生協・農協のリーダー、勇気ある生産者たちによって築き上げられていった。

第8回
交流のなかで安全性を高める方法を

菊地(一)

 これからの産直は、安全性の問題ひとつとっても、視点を変えていくべきだと思うね。そのためには、交流しながら腹を割って話し合い、いい知恵を出していかないとね。
 農協として大事なことは、産直を一緒に進めているみやぎ生協がどんな組織か、折にふれてきちんと教えていくこと。他のスーパーとはここが違うんだ、と。
 たとえばグリコ・森永への脅迫事件が起きたとき、多くのスーパーがグリコ・森永商品の扱いを止める中、みやぎ生協は商品を撤去しなかった。世間は大騒ぎだったけれど、過剰反応しないで冷静に対応した。生協はそういう心ある組織なんだと言うことを、ちゃんと農協の職員に伝え、農家にも伝えた。次の世代にも、そういう教育が必要だと思う。
 それとリーダーが農家をしっかり育てていくこと。産直が始まったころは、農協には窪田さんがいたし、みやぎ生協には内舘さんや池上さんがいて、生産者のグチも不安もしっかり受け止めてくれた。

鈴木

 いま振り返ると、生産者が困っているときに解決のアイディアを出してくるのは、いつも窪田さんや佐藤さんら、当時のリーダーだった。私ら生産者は、リーダーの指導があったから安心して農業をやってこれたんだ。

佐藤

 食品の安全性は、いまはどのスーパーでもとりくんでいるテーマなので、みやぎ生協や私たち農協が特に優れているわけではありません。
 ただ産直の場合は、顔とくらしの見える交流が最大の特長。これからは、生産者と消費者の交流の中で、もっと農産物の安全性を高める方法を考えていくべきだと思っています。
 そうでないと生協も農協も価格競争にさらされ、お互いに利益が確保できない状況になる。
 だから食品の安全の確保について、一般の流通業者がどこもとりくんでないような方法を一緒に考え、産直の農産物をつくりあげていくのが大事だと思います。

目次

第1回
経済的メリットよりも大切なことがある
第2回
要望に応えてくれた生産者たち
第3回
梅干しを産直品として育てよう
第4回
抗生物質と薬が頼みの養豚に疑問
第5回
生産者の生活が成り立つ価格を
第6回
自分の子どもに食べさせられる鶏肉をつくる
第7回
農家の経営安定に貢献した仙南加工連
第8回
交流の中で安全性を高める方法を
ページの先頭へ