産直活動の始まりから、未来へ 志を継ぐ ー1990年代ー

産直品の競争力を高めよう

90年代は、産直が事業面でもまた運動面でも大きな変化を求められた時代だった。米不足が食料供給の根幹をゆるがす一方で、それを乗り越えようとする努力が産直で築いた互いの信頼を、より堅固なものにした。水産産直が始まり、産直品のすそ野を拡大した。生協のネットワークが県内すみずみにひろがり、県民の消費を支える社会的責務は、一層重みを増した。しかし気付けば産直は、生協や提携農協の専売特許ではなくなり、新しい競争環境下へ突入していた。いま何をすべきか。関わる者すべてが問われたのだった。

第8回
新しい競合の時代に求められる本当の競争力

伊藤

 とにもかくにも90年代は、みやぎ生協にとって、社会的責任の増大とともに小売業界の主流へとステージがあがった時代だった。
 ところが、他の事業者も産直のようなことを始めたり、安全を志向するようになった。つまり主流となった生協に対し、「安全安心は生協の専売特許じゃない」と他社の挑戦が始まったわけだ。
 そこで我々としては産直品の品質と価格の両面で、他社の商品に対抗できるものをつくらなければいけなくなった。だから、産直米ひとつつくるのも、農薬や資材を共同で買ったら安くなるのではないか、豚や鶏のエサもポストハーベストフリーの飼料を共同で仕入れれば安全性を確保できてコストも下げられるはずだ、と検討を重ねた。また共同にすることで、産直品としての品質の統一が進んだという側面もある。
 90年代後半から2000年にかけ、「産直品に競争力をつけよう」というスローガンが出てきた背景には、そういう状況があったんだ。新しい競争環境の時代へ突入した産直品に、本当の競争力をつけなくちゃいけない、と。

産直の代表選手「あか鶏」

産直の代表選手「あか鶏」

齋藤

 メンバーのニーズに、どれだけ柔軟に対応できるかが鍵だと思う。生産者側も生協も。
 従来どおりの方法では、今は通用していても、必ず1、2年先にとまどう事態に直面する。そうなったときに機敏に対応を変えられるフレキシビリティが要求されている。

伊藤

 みやぎ生協の産直品が、他社の地域密着型の商品をつねにリードできるようにならなければ。そのためには生協も生産者に要求するだけじゃなく、しくみや仕事の仕方を変えていく必要がある。

齋藤

 いま輸入品の増加や子どもたちへの食育で、食の安全に関心が集まっている。「みやぎの産直」のスタイルは、日本にとっても地域にとっても一層重要になっている。みやぎの産直は生協のいのちだし、全国に誇れるとりくみだと思う。費やすエネルギーは半端じゃないけれど、継続の努力を怠ってはいけない。

稲刈り体験で生産者と交流するメンバー

稲刈り体験で生産者と交流するメンバー

目次

第1回
小売業界の「異端」が、「主流」になった時代
第2回
一段高い協同組合間協同
第3回
産直の理念のもと新しい仲間が増えた
第4回
流通の調整機能を果たす役目
第5回
水産県宮城の水産産直
第6回
産直品の基準を取り入れた県の認証制度
第7回
さまざまな問題が噴出した90年代後半
第8回
新しい競合の時代に求められる本当の競争力
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